現代では様々な「モノ」がネットワークとつながり、情報の中にデータとして存在している。その中でも医療に特化したIoMTは、社会における健康問題や医療不足(医療崩壊)を解決する技術である。
本稿は生活習慣や健康問題に悩んでいる人に向けて、IoTと医療の関係性(IoMT)、ウェアラブルデバイスの実用例の紹介したものになる。
IoTと医療の関係について
前置きにもあった通り、IoT(モノのインターネット)は生活の質をよくするために、様々なモノがインターネットに接続されていてどんなことにも使われている。
今回はその中に含まれる医療とIoT(IoMT)について紹介する。
そもそもIoMTとは
IoMT(Internet of Medical Things)は医療機器とヘルスケアのシステムをコンピューターネットワークにつなぐもので、「誰」が「どこに」いて「どのような状態」であるかを遠隔で情報を得ることができる。
一般の人から患者などの多種多様な人の健康状態をリアルタイムにデータ化し、医療従事者の負担の減少や医療現場の医師不足に大きく役立つ技術になっている。
現代では、遠隔での患者の監視や診療などといったものにも活用されている。
IoMTが医療に与えた影響
IoMTが医療業界に与えた恩恵は大きく分けて2つある。
1つ目:医療現場の効率化・品質の向上
病院に行ったことのある人なら誰しも見たことがある「ナースコール」は、患者が緊急時に看護師を呼ぶものとして常設されている。しかし、このナースコールは意識がある状態で患者自身が異変に気付き、押す必要がある。そのため、いくら状態が悪くても患者の意思で「押す」「押さない」が人によって異なる。コミュニケーションを取ることが苦手な人や呼ぶこと自体ををためらってしまう人など、メンタル的・身体的問題で押せない人もいるだろう。
この問題を解決するにあたって、患者の身体状況を常にデータで表示し、モニタリングを可能にすることで未然に事故を防ぐことができるようになった。
また、自覚症状がない病気を含め、素早く異変に察知することで迅速な処置を取ることができる。
患者自身の健康状態をデータとして見える化をすることで、電子カルテによるログの確認やAIやデータサイエンスによる分析を可能にし、AIやデータに残るログによって人的ミスを極限まで減らすことが可能になった。
以上の点から、医療従事者への負担は減り、医療現場での効率が向上したことが分かる。
2つ目:医療コストの削減
誰しも病院へ駆け込み、診療や通院をしてしまうと医療従事者の負担はとても大きいものになってしまう。しかし、遠隔診断や遠隔治療によって医療現場の運営コストや施設維持などの費用が減少する。
そのほかにも、先ほど挙げたように健康状態を患者自身に確認させ、予防医療や業務の効率化によって総合的に医療のコストが減少したといえる。
(※AIやデータサイエンスのデータ化には導入費用が多くかかるため、総合的に見たものになる)
ウェアラブルデバイス(スマートウォッチ)
ウェアラブルデバイスは、通話やインターネットの利用・電子マネー決済など様々な機能が備わっている。その中でも今回注目するべきは「健康管理」に関する機能だ。
一般的なものとして腕時計型のスマートウォッチがあり、脈拍や生体情報の測定などができる。常に身に付けることができる為、外出先でも瞬時に健康状態をチェックでき、身体の異常を検知しやすく便利なツールとして扱われている。
Garmin(スマートウオッチ)画像クリックで販売ページへ
2024/5/29現在在庫切れ。ほかの機種は在庫確認済み。
Garmin公式サイトはこちら
実際にウェアラブルデバイスを使う(スマートウォッチ)
実際にスマートウォッチの機能を体験し、使用者の健康状態を知るために、心拍数・呼吸・現在の健康状態の管理といったものをデータとしてまとめた。
また、今回使用したデバイスはvivoactive 5という機種で、健康や運動機能に対するサポートが充実しているものでの計測を行う。
(※画像はGarmin公式のサンプルなため、実物と見た目が違う可能性がある)
結果
安静時心拍数(1分間の平均)67
平均呼吸数(1分間の平均)19
ストレスレベル 71(日曜日のアルバイト終了時)
健康状態の成人の平均値
安静時心拍数60~100
平均呼吸数12~20
ストレスレベル0~25:休息。26~50:低ストレス(平均)。51~75:中ストレス。76~100:高ストレス。
簡単に行える計測の結果から、自身の健康状態は心拍数や呼吸の数には問題はないが平均以上にストレスがかかっていることが分かった。平日・休日ともに体を休めている時間が少なく、睡眠時間が足りていないとスマートウォッチからアドバイスを受けた。
これのアドバイスを受け、BodyBattery※を確認すると、起床時時点ですでに80%ほどで睡眠が足りずに体力が回復しきっていないことが確認できた。また、長時間椅子に座り続けゲームをしていても体力はどんどんと減っていく。そのため、体を動かさずにいる時間が長ければ長いほど実際に感じている疲労とデータとして見る疲労の差は歴然であった。(体感としては元気だったが気づくと40%程まで下がっていた。)
ストレスレベルの値はリアルタイムで変化しているので、休息やリラックスの必要なタイミングをより明確にしてくれる。
(※BodyBatteryはGarminのスマートウォッチに搭載されている機能の一つで、心拍変動、ストレスレベル、睡眠、そして毎日の活動レベルなどを分析し身体的エネルギーの残量を測定し、数値として表示する機能である)
まとめ
ウェアラブルデバイスを使うことで、健康に関するデータの見える化が出来るようになった。これによって、自身の体調・体力などのキャパ(限界)を知ることができる。健康を維持するために必要な運動や睡眠の調整など、習慣に基づくデータから改善点を提案してくれるため個人にあった生活に合わせて健康管理をすることができる。
現在の医療は人手不足に陥っており、すべての人間の対応を取ることは難しい。そのため個人個人が健康に対して気をつけることができれば医療従事者が不健康者に対する手間もなくなる。そのほかにも、デバイスのデータを専門医に遠隔で情報提供することで簡単に診療することが可能になっている。そのため自身の健康状態をデータとして残すことのできるウェアラブルデバイスはIoMTに対して貢献しているといえるだろう。
参考資料
IoMT学会HP:IoMTについて(https://iomt.or.jp/)2024/5/29
コメント
IoMTについてはほぼ知識がなかったので面白かった。スマートウォッチが医療で活躍するのはいわれてみればという感じであった。
スマートウォッチにそんな機能があるとは知りませんでした。
スマートウォッチの重要性を知ることができました。
実際の使用感と結果が分かる為非常に参考になる。
IoTの前提知識とIoMTとの関係性をもう少し掘り下げるとIoMTについての理解が深まるのではと感じた。
IoTも現在では医療施設にも導入されており、特にスマートウォッチの使い方は運動以外にもこのような活用方法があると初めて知った。
Garmin(スマートウオッチ)の販売元のリンクがある点は、とても良いと思いました。また、「※BodyBattery」などの用語の説明がわかりやすく、近くに書かれているのも良いと感じました。
ナースコールは、患者が押すか否かを決めるという部分でハッとした。
親戚がだんだんと年老いてきているのを実感しているので、ウェアラブルデバイスをプレゼントする事を検討してみようと思う。
IoTとはどんなものを主に指すのかを具体的に書き出したほうが話の中心であるIoMTをもっと理解しやすいかなと思った。
データが見えるかでき実際の医療現場でこれらのデータを提供した際医者たちにどのように楽になるのかそれともしっかりと再度診断されるのか気になるところ